紅葉を観ながら2014/12/04

10年前も
先日ふと寄ったリサイクルセンターでちょと変ったワゴンを見つけた。
一番上の天板が無いから、イーゼルの傍に置いて筆などを置くのに便利そうと予約してたのをやっと今朝取りに行く。
カートに乗せれば持って帰れる大きさだ。

マンションを出ると近くのモミジが真っ赤に鮮やかだ。

ああ あの日から10年経ったな。
入院する夫をこのモミジの前で撮った。

もうここに帰ってくることはないと夫も私も口には出さないが解っていた。
君のもと云われてカメラを渡して撮ってもらったな。

末期癌と病院で告げられてから、朝夕毎日電動車椅子で散歩した。
気分の良い日は途中で彼は歩き、私が替わりに車椅子を運転したりして。

午後は毎日点滴をしに来てもらって、この穏やかな日々が続く事だけを願っていた。
余命3ヶ月と宣告されてお互い口には出さないが覚悟していたが、雪が解け、サクラの満開を愛で、四季の景色を味わって、紅葉のさなかに自宅療養の限界が来た。

54年間連れ添って、あんなに穏やかにお互いの事を思いあう情を素直に表せたのは初めてだったかもしれない。
悔いる事は多いけれど。それでもせめてもの慰めだ。
陰で支えてくれた家族の温かさが身に沁みた。

今月の30日に10周忌を迎える。