2010/10/04

黄色い部屋
昔の小・中学校での秋の一大イベントは何と言っても運動会だ。
この時期、毎日練習して当日は町中あげてのお祭り気分で盛り上がった。 このことは去年の今日書いたから今回は中学校での出来事を思い出すままに。

当時中学校は5年制だった。 従兄弟が通っている中学校の運動会に母と兄と観に行ったのは幾つの時だったろう。
兄はまだ中学生になってなかったように思う。
女子は女学校に行ったから、中学は無論男性ばかりで雰囲気が全然違う。 総行進では部活ごとに歩いてて柔道着の上級生など大きな体躯で圧巻だった。
騎馬戦も棒倒しも迫力満点で面白かった。

軍事教練もやっていて 銃をかまえて匍匐しながら撃ち合う演習には、兄も私も観客席のベンチの上に立って夢中で見ていた。
その最中に 横に座っていた母が兄の名前を呼び「どうしたの?」と聞いたので兄の顔を見るとコメカミから赤い筋が垂れている。 血だ。
兄はきょとんとしていた。 何も気付かなかったらしい。
その後どうしたのか記憶にないが、ともかく父に連絡して念のため父の勤めている病院でレントゲンを撮った。
私は家に帰っていたから後のことは夜帰宅した父から聞いた話だ。
実弾ではなかったと今想像するが、弾がコメカミから入って頭蓋骨に当たっていたそうだ。 一歩手前で幸運だった。
その後の兄の様子は全然覚えていない。 中学の校長先生とは親しかったせいか事故が公に成ることはなかった。
第一軽い怪我で済んだのだから。
あとで 父が「医者になっていて良かった。念のためすぐにレントゲンで調べられたから」と述懐していたのを聞いている。

少し大きくなってから当時のことを思い返して、人間の運命なんて解らない、兄の顔の向きが少し違ったら目に当たっていたかも、 弾道が少しずれていたら私に当たったかも。
自分が知らないだけで 運、不運の狭間を通り抜けているんだな。
大きな運が傍らを擦り抜けて行ったり、死の危険から逃れていたり、そういうことを知らないから暢気に生きていけるのかも。
この小さな事件から学んだことは大きかった。

この季節、運動会に関連した古い想い出の一つだ。

コメント

_ 愛 ― 2010/10/04 22:43

めちゃめちゃ驚いています!!
そんな大きなことも公にならない時代だったんですね~。

「運」は、生きていく上でとても大切なものだと私も思います。
「運」や「ご縁」に支えられて、今があるんだなぁ、と
つくづく生きている奇跡を噛み締めています。

_ 美海 ― 2010/10/05 09:03

愛さん
今ならマスコミに取り上げられて大ごとになっていたかも。
関係者は皆 故人になりましたから もう話してもいいかと。

子どもの頃読んだ外国の短編小説。
ロバに乗って旅をしていた少年が疲れて泉の傍で寝てしまった。
そこへ何人もの旅人が着て彼を見て呟く。
大金持ちは 可愛いから養子にしょうか と
盗賊は 殺してロバと金を奪おう と
人買いの商人は 奴隷として売ろう と
いろんな人が通り過ぎるが邪魔がはいって実行できない。
やがて眼が覚めた少年は何も知らずにロバにのって 旅を続ける。

心に残っています。

_ kazu ― 2010/10/05 15:56

ええっ? 実弾訓練ですか。
戦争末期、竹やり訓練だった時と比べると、まだ
いけいけどんどんの時代だったのですね。

話違いますが、絵のなかに、髑髏がありますね。
宗教画に描かれたものと、同じ意味なのでしょうか。
意味は忘れちゃいましたが・・・

_ シルバー ― 2010/10/06 11:57

そんな体験をされていらっしゃるんですね。驚いています。
それにしても、同じ時代を生きて来たはずなのに、年齢や環境が違うと、こうも視点というのでしょうか体験が異なるものなのですね。
いろいろ貴重なお話を知ることができるので楽しみです。
「運」は確かに存在するものなのでしょう。
戦争、病気、怪我を乗り越えて確かに私は存在しています。

_ 美海 ― 2010/10/06 16:09

kazuさん 今晩は
戦前の旧制中学校や小学校の高等科(2年間)の男子は
教練の時間が有って実戦さながらのこともやっていたようです。
考えれば恐ろしい体験でした。

絵のなかの髑髏は教室で先生がモチーフを組まれたので深い
意味はないと思うのですが、添付する絵は髑髏があるのがふさわしいかしらと選びました。
宗教画の髑髏の意味 興味あります。

_ 美海 ― 2010/10/06 16:32

シルバーさん
ご病気、お怪我も乗り越えてこられたのですかぁ。

ほんと 皆さまもいろんな体験を重ねてこられたのでしょうね。

_ Mitzi ― 2010/11/11 13:26

はじめまして!
ネットサーフェインをしていて偶然見つけました。
現在、豪州に住んでいる女性です。
私は若い頃、芹沢光治良さんが大好きで芹沢さんの”人間の運命”を通して明治、大正、昭和をと運命というものも色々と学びました。

>自分が知らないだけで 運、不運の狭間を通り抜けているんだな。
>大きな運が傍らを擦り抜けて行ったり、死の危険から逃れていたり、そういうことを知らないから暢気に生きていけるのかも。
>この小さな事件から学んだことは大きかった。

本当にその通りだと思い、どんな状態でも生かされてい
る事に感謝しながら頑張っています。
時々へこみますが。。。。(笑)

幼い頃、お母様と更に医師であったお父様を亡くされたお友達は
60歳の時こちらに移住して現在84歳ですが頑張っておられます。

ところで、11月になってまだ一度も更新されていないようですが、
これからも楽しみにしていますのでよろしくお願いします。

南半球より心を込めて
Mitzi

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
干支で寅の次は何でしょう?
(平仮名3文字でお答えください)

コメント:

トラックバック