浴衣の想い出2012/08/22

浴衣姿で
数日前になるが駅前に浴衣姿の女性たちが目立っていた。
夕刻だったから何処かで花火大会でも有ったのだろうか。
久々に見る若い女性の浴衣姿は初々しくて思わず見とれてしまう。

子どもの頃の事を思い出した。
昭和初期、関西では夏になると大通りの両脇に夜店が並んだ。
ゴザの上に品物を並べて、照明はアセチレンがスだったから特有の匂いが立ちこめている。
丸い円盤を重ねた形の籠に入った蛍を買って帰って蚊帳の中に放して眺めながら寝るのが楽しみだった。
他にも種々雑多な物が並べられていて夕涼みがてら歩き回った。

ここから浴衣の想い出。
小学校低学年のころ、明るいうちに友達同士で行く事になり
「浴衣で行こうね」と。
帰って母に言うと「うちにはない」とにべもなく言われた。
それくらいのこと判っていた筈なのにホント奥手だったな。
親は和服を着て、夏には浴衣姿が普通だったけれど子どもは洋服だけだった。
仕方がないから待ち合わせの場所に行って
「洋服できちゃった」
お互い全然気にしなかったけれど我が家は少し変っているのかなと少し思った覚えがある。 羨ましいって気持ちも無かった。

子ども向きのバレエと踊りを習いだして生まれて始めて浴衣を作って貰ったがバレエの白い衣装の方が嬉しかった。
その翌年、阪神風水害で姉が帰宅出来なくなった友人達を我が家に泊めたお礼にと後日その友人のお母様方がお礼に来られ、私にまで浴衣地をくださった。
小さな升目のような凹凸の有る涼しげな薄いブルーの生地に大きな向日葵模様が美しくてお洒落に無頓着だった私も嬉しかった。
その割に着て歩いた記憶はない。

今、若い人達の浴衣姿を見るとスタイルもいいし新鮮だ。
既製服のように仕立てて売っているのだろうな。
ついでに裁縫の授業で初めて浴衣を縫わされたときの苦痛も蘇った。 不器用だった。