「武士道」を読んで2010/08/23

日暮れ(写真)
新渡戸稲造著「武士道」はあまりに有名な本なのに読む機会がなかった。
医院の待ち時間に読もうと本棚から何気なく取ったのは一番薄かったからだ。
1984年発行(第28刷)、因にこの和訳の第1刷は1938年だから戦前だ。
どういう動機で買ったのか覚えていないが、矢内原忠雄訳とあって懐かしかった。

この薄い本を読むのに1週間かかってやっと読み終えたところだ。
難解だった。 武士道を海外に紹介するために元は英文で書かれていて、あちらの賢人や聖書の引用、騎士道との比較などで奥が深い。
侍が如何に名誉を重んじ恥を恐れ、金銭欲を卑しんだか、切腹することへの自負心、仁・義・誠・礼・忠を如何に重んじたか。
婦人の役割にも触れている。
立派だと思った。
が 著者も書いているように封建時代の終焉とともに武士道は表面上は滅ぶ。 でもその精神は日本人の心の奥に受け継がれていると。

一世紀前(1899年著)のこの本を読んで私自身は素晴らしいと思いながらも違和感や理解しがたい点はいろいろあった。
しかし それならば 現在の私の精神の拠り所は何なのだろう と考えてしまった。