記念日2010/08/03

石膏像と果物(油彩)
幼児を放置して死なせてしまった悲しいニュースが有った。胸が締め付けられる様な傷ましさと共に一生救いようの無い十字架を背負って行くであろう若い母親も可哀想との想いが心の隅にある。甘いかも知れないが独りで子育てする大変さ、そこから逃げたい気持ちは判らないでも無い。

50数年前に初めての子どもに恵まれた。 徐々に復興して生活は向上して来てはいたが、まだ給料遅配、ボーナス0の時代だ。
ベビー服も肌着もおむつも全部手縫いして、ベビーベッドは夫が手作りしてくれた。
「頭が挟まると危ないからもっと桟の間隔を細かくして」とクレーム付けた覚えがある。 夫は苦笑いしながら
「変なとこで神経質だな」
それでも注文通り立派?なのを作ってくれた。
その後、赤ちゃん用のテーブル付きの椅子も板を買って来て作ってくれて、私がペンキを塗って絵を描いたりした。

会社から帰って来た夫とよく川縁を我が子を替わりばんこに抱いて散歩したっけ。 そんなとき私の脳裏には、マンナ(赤ちゃん用のビスケット)買ってあげたいけど20円どこから捻り出そう なんて現実的な事が浮かんでいた。

親にも周囲にも助けを求める事なんて無かった。 みんなが自分の生活で必死だった時代だ。
でも夫がいてくれたから私でも子育てが出来たのだと思う。
日本の経済も上昇機運で先は段々良くなる、今さへ乗り切ればって確信のようなものがあった。
戦争末期、敗戦直後に比べて 親子の幸せな暮らしを感謝した。

時代によって欲求は違うのだろう。 昔の尺度で今は計れない。
でも 独りでの子育ては重荷だったろう、助けを呼べないのが都会かな。 指弾はいくらでも出来るが、こういう事件が起こる前に私に出来る事って何も思いつかない。
マンションに生活するようになってその感は深い。

今日は初めての子が産まれた記念日だ! あの日の情景が細かい事まで思い出されてちょっと感傷的になっている。