小鹿物語ーThe Yearling2009/08/23

「人生は必然か偶然か」についての友人との話が知り合いの方のブログに載せられてるからと教えてもらい、帰宅して開いた。
格調高く美しいブログで、私の友達ご夫婦の会話が目に見えるようだった。 私のブログも教えてと彼女に言われたがちょっと恥ずかしくなる。
そのブログ(60歳くらいの男性の方)の中に映画の「小鹿物語」について何日かにわけて記されていて興味深かった。
子どもの頃感銘受けた懐かしい本のことをここに書き留めておきたいと思っていた。 特にこの本に対する思い入れは強い。
小学5年ころ買ってもらった記憶、青い装丁の分厚い本だった。

「イヤリング(一歳仔)」 マージョリー・キナン・ローリングス 大久保康雄訳  三笠書房
アメリカの開拓地の大自然の小さな小川で少年が作った小さな水車で遊んでいる・・・ そんな情景からはじまっていたような記憶がある。 猟と農耕で家を守る頼もしい父親と子どもを次々亡くし暗く厳しい母親と感受性の強い少年の3人家族の生活が数のエピソードをちりばめて展開される。
命を脅かす大きな熊を執拗に追い続ける父親に少年は尊敬しながらつき従う。 そして遂に仕留めたときの喜び! 長い雨季や冬に備えて猟をした鹿などの肉を燻製にして吊るしておく貯蔵小屋、玉蜀黍畑や菜園の風景が目に浮かぶ 。生きていくことの厳しさが胸に迫る。
少し離れたところに住む隣人は荒くれ男の一家だった。ただ少年と同じ年頃の末っ子は生まれつき体が弱く気の優しい子だった。兄たちはその子を宝物のように可愛がり大切にしていた。
少年のただ一人の友達だ。彼はいろんな動物を大事に飼っていた。少年はそれが羨ましくて仕方がない。 母親に僕も飼いたいと願うが厳しい母親は許さない。
ある日父親が毒蛇に噛まれた。 父は息子に近くにいた母鹿を撃つよに命じ内臓を取り出させて傷口に当て毒を吸い出させて一命を取り留める。  そのあと少年は母鹿がつれていた仔鹿が気になって仕方がなくて母に嘆願する。 あの仔のお母さんのお陰でお父さんは助かったんだから助けてやってもいいでしょ と。 やっとお許しが出て翌日少年が飛んでいくと仔鹿はつぶらな瞳をしてうづくまっていた。優しく抱く少年。 彼は親友のとこへ見せに行きフラッグと名前をつけてもらう。 そして間もなく病弱な親友は他界した。 荒くれ男の兄たちは人目憚らず悲しんだ。

少年と仔鹿の楽しい日々!
やがて成長したフラッグは本能に従い菜園の新芽を食い荒らす。母親の怒り、父親の取りなしで少年は黙々と菜園を守る柵をつくるが、フラッグは軽く飛び越えてしまう。 嘆願して柵を高くするがやはり駄目。
毒蛇に噛まれて以来体の衰えた父親は少年に大自然で生きていくことの厳しさを諄々と諭し、母を恨むな、殺すようにと言う。
少年はフラッグとともに山に入り猟銃を押し当て、信じ切って見上げるつぶらな瞳をみつめながら引き金を引いた。 少年は10日間山をさまよい飢えて家に帰ると母親は失ったと思った息子が帰ってきてくれたと涙を流して喜んだ。 
少年の脳裏には仔鹿と少年の後ろ姿が山のむこうに消えさるシルエットが浮かび、今日からはこの家族を支えていく大人になったことを自覚したのだった。

こどものころ何回も読みその度最後に涙が溢れた。 もう一度同じ本を読みたいとネットで探したが70余年経った今では無理! この粗筋は私の想像が入り込んでいるかもしれません。 私の記憶の中のイヤリングです。