気がつけば８２歳

京都二日目は私の誕生日だった。
昭和2年５月６日生まれだから８６歳、嗚呼八十代も後半に突入だ。
今年は家族が偶然集まった京都で迎えることに。
お墓参りをした夜の会食には夫を偲ぼうと持ってきた写真をホテルの別館の予約していたお座敷の卓上にそっと置いた。
家族が集まるのをとても喜ぶ夫だったがヒマゴの顔は見られなかった。
マゴ達の成長とヒマゴの愛らしさをどれだけ喜んだことだろう。

そんな想いにしんみりしていたら突然、
「お母さん　お誕生日おめでとう！　カンパーイ〜」
慌てて
「ありがと〜う　お陰さまで56歳になりましたぁ」
えっ　て皆の不審な表情に
「あっ　間違えました 86歳です」
まだまだ自覚してないな。

京懐石料理はは伝統を踏まえながらも創作料理に近く器も盛りつけもモダンで素敵だったし本当に美味しかった。

宴も終わりに近く洋酒が入ってるくらいの箱を誕生祝いと渡された。
何だろう？　包装を解き慎重に蓋を開けたら柔らかい紙包みが重なっている。
次々取り出してやっと箱の中程に固い小さな包みが・・。
興味津々でそろっと開けるとカワイイ陶器の花と壷が現れた。
掌の真ん中にすっぽり収まるくらい。
何とも言えない初々しさと気品が伝わってくる。
スッカリ気に入ってしまって嬉しかったなぁ
いろいろ考えて選んでくれたのだろうと思うと涙が滲みそう。

幸せ過ぎる誕生日でした。