84歳の雑感2011/06/09

無題
若い方達は昭和初期の風景をどんな感じで思い浮かべるのだろう。テレビもパソコンもCDもない時代、無論携帯も無くて、電話の有る家も少なかった。 自家用車も限られていた。
エアコンも無くて冬は寒く夏は暑い自然のまま暮らしてそんなものだと思っていた。
私が子どもだった頃に明治時代を想像して不便だったろうと思ったのに似ているかな。 
その後に苛酷な戦時下と敗戦後の物資欠乏、毎晩の停電などを経験した時は昭和初期の生活を懐かしんだ。

私が子供時代の風景を和やかで美しかったと思い浮かべるのは家庭的に恵まれていたからだろう。 蔵書がいっぱい有って干渉されない自由があったから。
國全体としては重苦しい苛酷な状態だったことを大人になって知った。

成人する前に敗戦、価値観の転換、秩序の崩壊を経験して良かった。 柔軟に受け入れることが出来たし未熟でも思うことが言える時代だった。
あれから60有余年経って戦前に比べれば良い時代になったと思いながらもモノが言えない閉塞感と無力感がどこかにある。
私の知っている若い人たちは昔の私とは段違いに社会に対する責任感を持っている気がする。 健気だなと思うくらい。

疲れる時代だなあと感じる時があるのは高齢になった証拠かな。