取り壊し2010/07/15

取り壊して更地に
何気なく通りすがりに見ていたガソリンスタンドが或る日閉鎖されているのに気がついて驚いた。
結構流行っていた様子なのに大手もキビシイんだなと感じた。
数日して取り壊しが始まった。
上物は簡単だが分厚いコンクリートを壊すのは凄い音がしていた。
ブルトーザが何台も作動し、大きなトラックが残骸を運んで行く。
あれって何処に廃棄するんだろうとおセッカイな事を考える。

ついでに思いは敗戦前のころにタイムスリップした。
8月15日の終戦前の今頃は空襲で大変だった。 
何時頃からかは忘れたが市街地では家の強制撤去が行われていた。
密集地での類焼を防ぐための家の間引きだ。
よそ者で未成年の私に詳しい事情は知るよしもなかったが、古い立派な屋敷が壊されて行く現場は何度か見た。
消防団のような人たちが外側を剥ぎ、最後に何人かが綱を引っ張って引き倒していたように思う。
辛い光景だった。 祖先や家族の歴史を刻んだ家だったろう!
やがて街のアチコチに四角な空き地が見られた。
終戦になってから聞いた話で真偽は知らないが、取り壊されて数日後に戦争が終わったそこのご主人は気が狂われたという噂が流れた。
空襲で焼け野原になった街もあり、辛うじて空襲は免れてもいろんな悲劇があったが、国民はただ耐え忍ぶしかなかった時代だった。 不平等も大きかったが運が悪かったと諦めるしかなかったと思う。

現在の破壊は経営合理化のためで、更地にはマンションでも建つのかも知れない。 私が心配する事はないと思うけれど壊されて行く様子を見ると昔々の哀しい光景が浮かんできた。