昭和に生まれて(4)2019/10/31

ー犬の想い出ー
物心ついたときから犬は常に居て良き友だった。
一番長く一緒に暮らしたのは、エリとテス。
雑種の中型犬でエリは茶色、テスは黒かった。

このちょっと変わった名前の由来は母がハーディの作品のテスからとったとか。 無残な生涯を送った女性の名を何故つけたのか母に聞く機会はなかった。 
エリは私が付けたことになっているが、まったく覚えがない。
意味もわからない。
ともあれ我が家には常に犬が居り、代々その名は引き継がれた。

父が犬を繋いでおくのを不憫がって、庭への出入り口を塞いで放し飼いにしていた。 
当時室内犬の風習はなかったし、無論ドッグフードも売ってなかった。
食事は朝はお味噌汁の残りに残飯をまぜたもの、夜は夕食の残った諸々とご飯に決まっていた。 塩分が多くて犬の健康には良くなかっただろう。

雌雄いるのだから当然毎年子犬が生まれる。 今思うと不思議だがお産を見た覚えはない。
ただ朝起きるとまだ眼も開かない赤ちゃん犬が5~6匹テスのお腹に抱かれていて可愛かった。

兄と私はヨチヨチ歩きの子犬を縁側に上げて競走させたり随分遊んだものだ。
乳離れするころになると貰い手が現れて親子で来られた子供さんに大事そうに抱かれて一匹ずつ巣立っていった。

あの頃はペットっていうよりよりそれぞれ独立した同居人って感じだったように思う。 
犬は犬同士の生活があったような、2匹だったからかもしれないが今とはチョット違うように思う。
少なくとも今のように大事にされていなかった。 
子どもと犬は仲良しだったが。

そう もう一つ初代のエリとテスの特技!
明け方6時になると2匹並んで座り、天を見上げて狼のような遠吠えをした。 
近所でも有名で時計代わりなんて、苦情もなかった長閑な時代だった。
             (2009/07/12のブログより)