久し振りに雨2015/08/17

久し振りの雨
珍しくしっとりと本格的な雨で涼しくなった。
ベランダからの景色がグレーにけぶって見える。
モンステラも生気を取り戻して嬉しそうだ。

ここから眺めている限りには世の中、平和だな。
ともすれば70年前の今ごろの世情が頭に浮かぶ。

敗戦の玉音放送から三日目には空襲の脅威から解放された安堵感は有ったものの未経験の今後が不安で落ち着かなかった。

隣組を通じて鮭缶やもう珍しかった保存食が大量に配給された。
駐留軍が来る前に処分を急いだのだろう。
父も勤めていた病院の同じ系列の軍需会社からスフの洋服生地などを貰って来て嬉しかったが先行きは真っ暗だった。

父母が健在だったから私など安心していられたと今になって感謝する。
それに田舎に疎開していて空襲の被害も受けなかった。
戦災に遭われた方々との差は大きい。

気がかりなのは学徒出陣で入隊していた兄のことだったが、まだ訓練中で内地に居て半月後くらいには帰ってきた。
犠牲になった従兄弟たちのことが哀しく思い出される。

もう皆故人になったから、せめて記憶している間に思い出を綴って置きたくなった。