衣替えの日2015/06/01

枇杷の実が色づいて
今日から6月。
戦前は衣替えの日だった。
和服が主だった母達はこの日から袷(あわせ)の着物から単衣のセルになる。
セルはもう死語だろうが単衣用の薄いウール地(絹が混ざってることも)
気温なんてお構いなしだった。

女学校の制服はウール地の紺色のセーラー服から上だけ真っ白のセーラ服に変る。
この日はがらりと変わった学園内の雰囲気が新鮮に感じられたものだ。

女学校に入って初めての6月1日に今でも思い出すことがある。
クラスメートで
「私、夏のあの制服好きじゃない」って子がいた。
当日になって彼女一人冬の制服で登校して、その日は全校生徒が校庭に整列して朝礼があった。

真っ白の中でポツンと濃紺のセーラー服が目立ったが、私は彼女の勇気に感心した。
自己主張し実行する強さが羨ましかった。

特に注意されたり叱られた様子も無かったがさすがに翌日からは白い夏の制服を着てたな。
70数年昔のことだからもう時効だろうと勝手に書かせてもらったが、体制に従うことが美徳で息苦しいことの多かった時代だったからフッと思い出して微笑んでしまう。

近くまで買い物に行ったらお庭の枇杷の実が色づいていた。
前に居た家の庭の小高い処に大きな枇杷の樹があってたわわに生っていたのを思い出す。
小鳥やタイワンリスに随分食べられたけれど、甘くて美味しかったと懐かしい。