3月は別れの月2015/03/16

小さな梅林
3月は別れの月だ。
学校に縁が無くなってもう60数年経つのにいろいろ思い出した。
クラス替えがあり、上級生を見送り、そのうち自分も卒業する。

しかし3学期は感傷に浸る閑などなく忙しかったな。
女学校は学科試験が無くなった年で、毎日面接の練習をして、入試の当日は緊張した。

あの頃は内気で人前で話すなんて全く苦手。
教えられた通り行儀よく戸を開けて教室に入ると5人程の先生方が机を前に横一列に、じっと見つめられてる。
その前に小さな椅子が一つ。

卒業した姉の作文を指導しててくださった国語の先生にちょっと皮肉な質問されてナイ知恵を絞って答えたら苦笑されたことだけ覚えている。

何日かして朝食の席に合格通知が来たが3人目ともなると親も感激してくれなかった。

数日して小学校の卒業式。
友達との別れは切なかったが、新しい生活への期待のほうが大きくて、可愛かったクラスメートが式の最中に泣きじゃくってるのを見た時は自分の薄情さを恥じた。

それから4年後の3月には京都の女専の入学試験に苦労していた。
今度は学科試験も有る、それも5年で習う筈の内容で生まれて初めて参考書を買って貰って勉強した。
別々の学校に合格した6人の為に、クラスメートの家に皆が材料を持ち寄って全員で送別会を開いてくれたことに今も感謝の気持ちでいっぱいで忘れられない。
もう戦時中で苦しい時代だった。

女専の卒業式は父の葬式で出席出来ず友に充分な別れも言えないままになった。

3月、電車の中などで卒業式帰りらしい華やかな女性を見かけると何となく懐古の情に浸ってしまう。

そのクラスメートに明日は何年振りかの再会だ。