「舟を編む」を観て2014/05/03

歴史を感じる
何となく読みたいと思っている本が有った。
「舟を編む」三浦しをん 光文社 2011.9.16発行
だが機会が無いままに過ぎていたら先日TVの映画欄で見付けて録画したのだが観る時間がない。

やっと観る事が出来たのは新しいテレビが来てからで大きな画面で観られて良かったのかも。

ストーリーは至って単純、しかも地味だ。
二十数万語が収録の『広辞苑』や『大辞林』と同程度の中型国語辞典
『大渡海(だいとかい)』を十数年かけて作り上げる過程の苦労を淡々と描いている。
それなのに心打つものが有り引き込まれて観て、清々しい後味だった。

よく出てくる例で「右」は何と説明するか?
映画でもその場面が有って思わずニヤリとしてしまう。

思い付いて我が家の主だった辞書を集めて写真を撮る。

表紙がボロボロになった
「新修漢和大辞典」博文館 昭和十年発行 定価参圓八拾銭
は夫が中学校に入学した時のもだろう。
墨痕鮮やかな夫の名前は中学生になりたての夫の字にしては上手過ぎるから祖父が書いたのだろうか。

「新修百科大事典」博文館 昭和九年発行 定価八圓五拾銭
これも夫が小学生の時だ。
結婚してから私も百科事典の全集を買うまでよくお世話になった。

「大言海」富山書房 昭和四十九年 定価七千八百圓
独り暮らしの伯母に頼まれて買って持って行った。

私の父の姉だが当時、確か92歳ぐらいだったと思う。
専門学校で教えていて退職後は京都で茶道に専念していた。
持って行った私に
「これは ほんとうに面白いのよ」
と嬉しそうだった。

96歳で亡くなった後、形見として私が貰った。
幼い時から本好きだった私はこの伯母に一番良く似ていると言われて可愛がってもらった覚えが有る。

写真に撮った以外にも外国語を別にしてもゴチャゴチャといっぱい有るが処分し難いものだ。
今は電子辞書が手元から離せないが、戦前の辞書で確かめる事もある。

辞書って読み物としても結構面白くて小学生の頃、お座敷に寝ころんで辞書を見ていたら、通りかかった父が
「そんなに 読むものがないのか」
と同情して小説を買ってくれた事を思いだした。

黙ってたけれど、辞書だって面白いのに と内心思っていた。
あのとき買って貰ったのは本は何だったのかは忘れた。