想い出 の続き2014/04/27

海辺の家
三日前に書きかけた、若い女性が突然訪問して来た話の続きだ。

二人で老後を閑静なところで過ごしたいと捜しまわった挙げ句に落ち着いたのは海が180度見えるチョット高台の古い家だった。
背丈程の雑草をかきわけて古い日本家屋が現れたときは驚きだったな。

奇麗好きの夫はそれだけで逡巡したようだが、私は雑木の間から見える海に魅せられてしまった。
170坪の敷地も嬉しかったし、これまで経験したことのない広々した日本家屋に好奇心満々で珍しく「イイと思う」を連発した。

不動屋さんは家を建て替えるのが前提だったようだが、中をよく見ると柱も天井板も立派で取り壊すのは勿体ない。
購入を決めてから土地の大工さんを紹介して貰って洗い、徹底的に直して、キッチン、リビング、バストイレは今風に改造してもらった。

庭の雑木は夫と二人でチェーンソーで切り払い一面に芝生を植える。
眺望が開けて、想像した以上に素晴らしい眺めだった。
もう30年近く前の話で、夫も私もまだまだ体力有ったなと沁みじみ思う。

そして何年か経って、ここからが話の続きです。
彼女は
「景色の良いお宅を捜してご近所で聞いたらお宅を教えて貰ったのです」
正直嬉しかった。
それにCMの撮影に興味があって、後日返事しますと言ったけれど、もう私の中では決まっていた。

それからいろいろ打ち合わせして、いよいよ本番の日が来た。
夫は、仕様がないな、任せたよって感じで承諾してくれた。

朝から大きな機器をイッパイ載せた車にスタッフや会社の方が十数人。
その後に出演されるタレントさんや赤ちゃん連れのお母さんまでが何台かの車で到着された。

小道具の方が座敷の襖を奥のと取り替えたり、和室に相応しい品々も持ち込まれる。
庭に大きな照明や、マイクなどなどの設置する。
ワクワクする面白さで邪魔にならないように気を付けながらアチコチを見て回った。

いよいよ本番になって固唾を吞みながら覗き込んだ。
たしか 保険関係のCMだったと思う。
何度も撮り直すのに感心した。
タレントさんともチョット言葉交わせて後でサインの色紙を頂いたと思う。

夕方、皆が引き揚げられた後は、前日の雨のせいでスタッフの歩き回った芝生はグチャグチャになっていて夫は苦い顔だったが、後日、芝生の手入を頼んでも充分余るくらいの礼金を貰ってホッとした。
事前に報酬の話合いなど全然してなかったのだ。

その後、何回かいろいろのCMの舞台になって楽しい思いをさせてもらった。
TVに映るCMはアッという間だけど それでもTVで見るのは嬉しかったな。

遠い想い出です。 
でも人生って瓢箪から駒ってことも有るから楽しいですね。