夏目漱石全集2012/01/14

小さな溜め池で
体力回復の為にカメラをぶらさげて散歩に努めているが冬枯れの季節には何も撮るものがない。
スケッチなんて論外だ。
早々に帰宅して時間を持て余す。
それでもやっと読書の意欲が湧いて来たのは古書店を舞台にした小説を読んだお陰かも。
中に出て来た「夏目漱石全集」が矢鱈と懐かしい。

父が夏目漱石が大好きで物心ついた時には客間の書棚に分厚い「漱石全集」並んでいて小学生の頃から親しんだ。
字が大きくて漢字にはルビがふってあったと思う。3年生くらいになれば讀めたのだから。
「坊ちゃん」「坑夫」辺りは面白かったが「我が輩は猫である」は大人の社会に抵抗感が有りながらも繰り返し讀んだ。
「虞美人草」には馴染めず、「それから」以降の主人公の悩みは子どもには無理だった。
そう「こころ」はじーんときた。
女学生になると「草枕」「硝子戸の中」「夢十夜」などを讀む。
「書簡集」に弟子達との関係を羨ましく思ったが全集外だったかもしれない。

昔は自分で買える本は限られていて同じ本を繰り返し何度も讀んだから活字が目に浮かぶくらい覚えている。
今は一気読みしてしまうからすぐに忘れる。再読することも少ない。
忘れるのは、あながち歳のせいだけでもなさそうだ。

覚えていても讀んだ年齢で受け取るものは違うと思う。
漱石全集も実家を出てからは手元に無いし今更買うのもって感じで遠ざかってしまった。
何だか無性に讀みたくなった。
岩波文庫が2〜3冊はあるけれど出来ればあの古めかしい旧仮名遣いの大きな本で読みたいな。
無理。 やっぱり岩波文庫で我慢しよう。
古書店に行ったりしてこれ以上蔵書を増やせないもの。

漱石以外にも昔読んだ文学書を再読したくなった。