ゲートルの想い出2011/08/21

水彩
夕べ観ていたテレビの俳優さんの稽古場面でゲートルを巻くシーンが有った。 戦争中を題材にしたものだと思う。
ご存知だと思うが、厚地の木綿でズボンの上からくるぶしより膝下まで巻き付けるものだ。
そのゲートルの巻き方のぎこちなさに戦前のことを思い出してしまった。

私より3歳上の兄は男の子が一人だったので我が家では特別待遇だった。個室も一番良い部屋だったし早くから家庭教師も師範学校の生徒さんにお願いしていた。
ま 戦前の跡取り息子はそういうもので私も憧れの様な、自慢の様な兄だった。
目指した中学校は県下でも厳しい教育方針で有名だったが何とか合格して家中が喜んだ。

その中学校では通学は制服のズボンの上からゲートルを付ける決まりで馴れるまでは見てても大変そうだったな。
確か鞄のかわりに白い木綿の風呂敷に教科書を包んで小脇に抱えて通学していたと思う。
お弁当は校庭を歩きながら食べると聞いたがあまり昔のことで自信は無い。
ともかく厳しいことで有名な学校で家で大事にされて来た兄が大丈夫かしらと心配したが、テニス部に入って白い縄編みのセーターを買って貰ったり結構楽しみも有ったようだ。

日米戦争に突入し空襲が始まる頃には一般市民も男性はゲートルを付け、女性はもんぺを義務づけられた。
ゲートルは兄の中学1年生の時に手子摺っていた微笑ましい記憶からだんだんと暗いおぞましい想い出に繋がっていった。