藤田嗣治の想い出2011/07/04

猫に因んで昔描いた鉛筆画を
録画していた「猫を愛した芸術家」の藤田嗣治編を観た。
よく知っているつもりだった彼の一生の隙間を埋めてもらえて感激だった。
トレードマークのオカッパとロイド眼鏡から派手な生活を想像していたら画業一筋の勉強家、ことにあの独特の白を表現する為の研究に脱帽、油彩に面相筆で美しい墨の線を載せている秘密には感嘆する。

余談だが彼が画業に専念するあまり一緒に楽しめない彼に不満で離婚、結局5回結婚して最後は日本人と結婚して見送ってもらった。
(最初の結婚だけは彼が渡仏し帰ってこないので仕方なく解消したらしいが)
真面目にやってるのだから最上じゃんと思うのは私が昔人間なのかなぁ。

戦争中彼が日本にいる時に大きな展覧会で彼の絵を観たと思うが戦争画は記憶に無い。
何時頃か忘れたが猫の群像の絵を観た。
大きな画面いっぱいに十数匹の猫が飛び回っている。
凄い形相で争ってる印象が、これまでの絵とあまりに違っていて迫力に圧倒された。 大人達は彼の心境を推量する様な話をしていたがその頃の私に難しいことは判らなかった。

姉が藤田嗣治の本を持ってて羨ましかったことを思い出した。
確か日記に書いたっけとぼろぼろの日記をめくったら、
 昭和19年9月2日 土曜日
    藤田嗣治の「地を泳ぐ」を讀む
    装丁 断然気に入っちゃった
    絵の描ける人は幸福だ
    詩のかける人は幸福だ
    個性を持っている人は、
    それを自覚し発揮できる人は幸福だ
    そう言う意味での美しい人は羨ましい。
敗戦前年の暗い厳しい世情だから少女は余計に夢を追い求めていたのだろう。