コーヒーの想い出2011/02/05

深夜
今度の病気でコーヒー、紅茶、緑茶が飲めなくなって3ヶ月が経った。
飲めないことはあまり辛いと思わないが振り返れば長い付き合いだったな。
昭和初期の子どもの頃も勿論紅茶も珈琲も普及していた筈だが、不思議と紅茶の想い出がない。
パン食が普及していなかったからかも。
でもケーキには飲み物は何だったのだろう。多分私が覚えていないだけなのだろう。

コーヒーのことははっきり覚えている。
昭和10年代のころ、何故か両親がコーヒーに凝りだした。
白くて青い縁のついた大きな琺瑯のポットに湯を沸かし、ネルで縫った10センチ大の袋にコーヒー粉を入れてポットの中に吊るして暫く弱火にする。
コーヒータイムは父が家に居る夜の8時頃だった。

昔は5時過ぎには夕食だったから、8時に下から佳い香りが漂って来て
「コーヒー入ったわよ」
と母の声が階段下から聞こえると嬉しくて兄妹3人が駆け下りたものだ。
お砂糖いっぱい入れて飲んだと思う。 幸せ感があった。
今思えば、女学生になるかならずの子供にコーヒーをよく飲ませたものだと妙な感心をする。

やがて太平洋戦争に突入してコーヒー豆も本場の紅茶も消えた。
大豆を黒く煎った代用コーヒーが戦後暫くまで続いたが似て非なる代物だった。
その後遺症だろうか夫も私も大のコーヒー好きで毎日夫が上手に淹れてくれたっけ。
コーヒーミルで挽いて漂う香りは平和の象徴に思える。
ま 今はその香りを時々嗅ぐだけでも満足だ。