一枚の色紙2011/01/31

夭折した画家の色紙
1月も今日で終わりだ。
今のうちにと色紙を取り替えた。

60年前、結婚してから色紙の入った箱を覗くと親戚の日本画家の作品の他にも色々有って中でもこの雪合戦の絵が好きだった。
「雪兎」の叔父さんに聞くと懐かしそうに画学生時代の親友が描いたものと話してくれた。
学生の時から彼は天才的だったよ と。

その頃の画学生って大体貧乏だったから義母が縁で買ったのではないかと想像する。
義母も叔父さんも夫も故人になったから昔の話は聞けない。
だが そのとき叔父さんが
「早く死んでしまって残念だった。口惜しかったろうな」
のようなことを言ってじーと色紙を見つめていたの覚えている。

色紙の裏に書かれたのを見ると昭和7年12月とある。
昔は若い人も達筆だなあ と感心する。
あの頃はは若くして病気で亡くなる方が多かった。
それから10年程して今度は戦争で多くの青年の命が失われた。
志半ばの貴重な人生を奪われて本人も肉親も親友も辛かっただろう。

この1枚の色紙を飾るたびに見知らぬ彼を想像する。
もう本人に断るわけにいかないけれどせめてブログで見てもらいたいと思った。