貧乏物語2010/05/18

静物ー木炭デッサン
朝の連ドラ「ゲゲゲの女房」を見ていて、私も新婚当時は貧乏だったなと懐かしく思い出す。   昭和25~6年頃だ。
昭和20年の敗戦前後はお金が有ってもモノがなかった。
徐々に統制が名のみになって闇屋が跋扈して、お金さへ出せば何でも手に入る時勢になる。
戦前の階級制度が崩壊し、新しい金持ち階級が出現し、学歴なんて通用しない就職難は深刻だった。
やっと就職しても給料の遅配は日常茶飯事。 ボーナスなんて長い間貰えなかったのだ。

ずーっと戦争下で育って、敗戦前後はどん底の生活を経験したから贅沢を知らない というのは或る意味で幸せだったかも。
日本中の大多数が貧乏だから僻むこともない。 
半年ほど一緒に暮らした義母からは
「今日からこの家の主婦はあなただから」
と家計をまかされた。
しかし如何に節約しても新米の主婦には荷が重かった。

結婚前勤めていたから多少の貯金は持ってきたけれど、すぐに底を尽き、そのころまだ有った闇市に自分の洋服などを売りに行った。
初めての経験だったが闇屋の小父さんとも親しくなって結構高く買ってもらった覚えがある。 何だか面白い世界だったな。
夫にも義母にも内緒にしていたが、義母は解っていたらしく
「××ちゃんが魔法つかってくれてるから」
と ひそかに感謝してくださっていたようだ。

日本の復興はめざましく、給料の遅配もなくなり、僅かずつでもボーナスが出るようになり、その日の食料代に困ることは無くなった。
 ちなみに結婚して初めて貰ったボーナスは中古のオートバイに化け、私も免許を取って二人で乗りまくった!
上昇気分の時は先に輝く未来が待っていると信じて、今から思えば貧しかったのに幸せだった。
若かった。  そして今の若い人より楽天的だったと思う。

若い時の貧乏(もっと困っていて方もいたのだろうが)を思い返すと今の年金生活は恵まれていると感謝する。
今日も年に一回の検診を無料で受けてきた。