昭和に生まれて(8)2020/02/01

本の思い出

何歳頃から本を讀みだしたのか、字を何時、誰に教わったかの記憶は全然無い。
幼稚園にも行かず、遊び相手もいない昼間は、座敷に寝転がって本を讀んでいた。

母は社交家で、いろいろの集まりに出掛けてることが多かったから、可愛がってくれたネエヤが教えてくれたのだと思う。

父が本好きで、座敷の書棚には分厚い夏目漱石全集、世界文学全集、近松戯曲全集、徳富蘆花全集などが並んでいた。
母の羽仁もと子全集も。

一番下の段には、子ども用にアルスの世界文学全集が並んでて、姉や兄が讀んだらしくて、挿絵に色を塗った跡が有ったりした。
(昭和初期には児童文学も大衆化の時代を迎え、大量生産による廉価な叢書が出版された。アルス社の『日本児童文庫』全76巻)
こちらは小学校に上がる前に殆ど讀んだと思う。

好きで何度も読み返したのは、子ども向けに書かれた「聖書物語全集」
20数巻有って、殆どが旧約聖書の物語だった。
「奴隷に売られた少年モーゼ」の話しが大好きだったな。

熟年になってから、昔を思いだして懐かしく古書店や図書館を捜し回ったがもう現存してなかった。

小学生になると、世界文学全集を讀みかじってるのを母が心配して父に相談したらしい。
父は「うちには子ども讀んで悪い本は置いてない」と言ったそうだが、それ以来私の為に「子どもの科学」や「ファーブル昆虫記」などをお土産に買って来てくれるようになって、その世界に夢中ななって文学離れしたみたい。

プラネタリュウムやゴルフにもよく連れて行ってくれたのも、父なりに心配してくれたのだろう。

世代によって讀む傾向が随分変わって来たけれど、今でも読書は大好きです。

添付写真は、昔讀んだ本の写真が何もなく辛うじて何かで撮った昔の世界文学全集の3冊を。