「日本の農業を・・・」讀んで2013/10/14

谷間のせせらぎ
「井上ひさしと考える日本の農業」井上ひさし著 山下惣一編
                  2013.7.1発行 家の光協会
を今讀み終えて共感しきりだ。
世界経済のややこしい理屈は私には判らないが、食糧の自給率の低い事は気になっていた。
嗜好品なら我慢すれば済む事だが主食無くして人間は生きていけない。 生存の基本だ。

戦中、戦後に自給自足に無縁の都会の会社勤めの家庭がお米の配給も無くなり、農村に買い出しに行った情けなさは忘れられない。
焼け残った着物等を持って、農家を回りお愛想を言い辞を低くしてやっと別けて貰った屈辱感を体験した人は多い。
我が家は疎開してからは父の職業柄、恵まれていたほうだったがそれでも非生産者の悲哀は経験した。
しかし、それまでの農村の貧しさも本で読み差別感も知っていたから恨む気にはなれなかった。

私などは同じ日本人同士でもいざとなれば生きる源の食糧を自給自足出来ない人間の無力さの痛みを体験した最後の世代だろう。

今は日本国を信頼しているから国内は分業で良いという安心感が有るが主食の自給率がこんなに低くて、他国に頼っていて本当に大丈夫なのか。 
単純と笑われるかもしれないが不安だった。

この本を讀んでその不安を裏付けしてもらった気がする。
良い本を紹介して下さって感謝です。

井上ひさしさんの早過ぎるお別れが哀しい。