藤田嗣治「地を泳ぐ」2013/09/24

ユッカ(青年の樹)
最近あまり見たいTV番組が無いのに珍しく日曜の夜は二つ重なってどちらを録画しようか迷った。
NHKスペシャル「神の数式」は二回目だからどうしても見たい。
BS朝日の「秋田への夢旅・地を泳ぎ、天を歩く」にも興味が有る。
結局難しそうな「神の数式」は録画予約して藤田 嗣治を観る事にした。

彼の事は、子どもの頃から親や姉にくっついて展覧会によく観に行って親しんでいた。
透き通るような白い肌の裸婦像は子ども心にも美しいと思っていたが或る年に大きな画面イッパイの猫の群像に圧倒された覚えが有る。
戦争画を描いた責任を問われてフランスに永住し二度と日本に帰る事はなかったと聞いた。

今回の放送は私が全く知らなかった彼の側面を見て感激した。
日本画の伝統をふまえた花鳥図、秋田の祭りを描いた超大作。
今更のように彼の描写力に感嘆してしまう。
こちらも録画して見直したかったな。

戦前に日本で出版された随筆集「地を泳ぐ」の本の映像が出て来て懐かしかった。
昨日、たまたま古い日記を讀んでいたら全くの偶然!

昭和19年9月2日 土曜日
 藤田嗣治の「地を泳ぐ」を讀む
 装丁 断然 気に入った
 絵のかけるひとは幸福だ
 詩のかける人は幸福だ

 個性を持っているひとは、
 それを自覚し発揮する事の出来る人は幸福だ

 そういう意味での美しいひとは羨ましい。

17歳の戦争真っただ中の女の子もそんな憧れ持ち、洒落た装丁画に心揺さぶられていたのだ。
内容は全然覚えていないのに。

あれから70年生きて来たのだなぁと不思議な気分だ。

添付画は珍しく買った観葉植物のスケッチ。
難しいが長持ちしそうだからもう少し納得できるまで描いてみるつもり。