三月 春2012/03/01

紅梅の短冊
今日から三月、晴れて暖かくなった。
近くのクリニックに予約してあった肺炎球菌予防接種に行く。
注射後30分は安静にしているようにとのことで待合室で絵本などを見ながら座っていたが大丈夫そうなので、ついでに隣街までバスで明日行くつもりだった用事も済ました。
日陰の道は昨日の大雪が凍り、融けかけた状態でもう真剣になって歩いたが暖かく晴れた日は有効に使いたい。

月が変わって部屋の掛け軸や色紙、短冊も春に模様替えしなくては。
誰も観る人もいないから年々億劫になってきたな。
好きだった叔父さんの「雪兎」の短冊を仕舞って夫の親戚の日本画家だった方の「紅梅」を飾った。不遇だった叔父さんと違ってかなり有名だったが数十年前に亡くなっている。
お二人とも和服の似合う品の良い素敵な方達だった。

色紙はお雛様の絵にした。
この絵の由来は義母に聞き損なったが、義父が買い求めた物のような気がする。 
昔は掛け軸や色紙、骨董の類いをよく売りに来ていたらしい。
床の間のある昔の家屋では必需品だったのだろう。
夫は引っ越しの度に殆ど処分してしまった。
ちょっと未練が有るが仕方ない。

後は明日にしよう。

昭和は遠く2012/03/02

昔の風景
図書館から予約していた本が届いたメールが来た。
何冊か頼んでいるからどの本だろう。
メールには個人情報守秘で書かれていない。

係の方が出してこられたのは
「久世光彦の世界 昭和の幻景」柏書房
思ったより分厚い本だった。
向田邦子脚本 久世光彦プロデュースの「寺内貫太郎一家」や「時間ですよ」は記憶に新しいが昭和だったのだ。
向田邦子さんの航空機事故での突然の死はショックだったが、今調べるとあれは1981年のこと、年月が経つ速さに驚く。
久世光彦さんの記事を雑誌などでよく見て身近な存在に感じていた。
1935年生まれで私よりずっと若いのに2006年3月2日に亡くなられている。
今日が命日だと知ったのはこの本を見たからだ。
その偶然に驚きと感慨があってこの本のことを記しておきたくなった。

冒頭に彼の幼い時からのアルバムが多く載せられ、親しかった方々の追悼文が続く。
後半に彼の作品が載せられているが今日はそこまで讀めそうにない。
でも忘れかけていた懐かしい人の名前が随所に出て来て昭和の風景がまざまざと蘇ってきた。

私のなかでは平成は新しく成りたてという気持ちが強いのに何時の間にか昭和は遠い過去になり忘れさりかけていることを実感した。

ひなまつり2012/03/03

五人囃子の
朝日新聞のbeにサトウハチロー作詞「うれしいひなまつり」に関するエピソードが載っていて興味深かった。
子どもの頃、サトウハチローは古めかしいお父さんと違ってモダンで好きだったな。
「お内裏さまとおひなさま」は間違いで正しくは男雛と女雛で男女の一対を指して内裏雛と言う。
と書かれていたが正直なところ私もあやふやだった。

あまりに端麗な顔立ちのお雛様に馴染めなかったし、母だけが飾って喜んでいたけれど姉も私も殆ど興味なかった。
昭和になって雛人形もひとまわり大きく顔も近代風に可愛くなったが我が家のは昔風の端正な顔立ちで衣装も地味だった。
今観れば風格と気品を感じられたと思う。
何故か五人囃子が居なくて或る年に伯母が贈ってくれた。
お内裏様や取り澄ました官女より可愛くてそれから雛祭りが少し楽しみになった。

定年後の広い日本家屋に移り住んでからは広い座敷に家人が自分の立派な段飾りを持って来て毎年飾ってくれたのを懐かしく思いだす。
全然女の子らしく育たなかったけれど中年になってから人形が大好きになったから不思議だ。

今日は小さな木目込みのお内裏様を飾り棚に置いて買って来たちらし寿司のお弁当でチョッピリ気分を味わった。
三月三日は 美海ーみみーミミ の日だもの。

日曜日2012/03/04

バルーン
遠くの空に派手な色のものが頭を出している。
見ているうちに上昇してバルーンらしいと判った。
気球の下に箱がぶらさがっていて人が乗っているらしい。
グレーの暗い空に沈み勝ちだった心に楽しい光が当たったようだった。

気になっていた地震用の備品を買いに出かけたのだ。
ホームセンターでは防災グッズのコーナーが設けられていて迷った挙げ句にヘルメットと折りたたみ式の15ℓ入る水の容器と乾パンなどの缶詰を2個買った。
その他の物は家に有る物で間に合いそう、リュックに詰めて置こう。
地震にはあまり危機感はないけれどもしもの時に周囲に迷惑かけてはいけないから最低の用意だけはすることにした。

20年前には大きな宝箱のようなケースに食品、飲料水、医薬品、衣類や毛布まで用意して物置に置いていたけれど引っ越す時に全部廃棄した。 
歳をとったせいか、あの頃のように真剣に考えられなくなった。
住環境の違いもあると思う。

TVの「日曜美術館」で久々に佐藤忠良の彫刻を観る。
日本人の顔の感情の奥深さに心打たれた。
昔は彼のモダンな女性像に魅力を感じていたのだが。
80歳過ぎの頃の彼の制作の様子も流されたが若々しく力強くて何だか元気づけられた。

今はもう日曜日なんて関係ないのだけど、ちょっと朝寝坊して、興味の有るTV番組が少し多くて、交流もあってやっぱり週日とは違う。

読書覚え書き2012/03/06

無題
久しぶりにミステリーを讀んだ。
「容疑者Xの献身」 東野圭吾 文藝春秋
図書館に予約した本を受け取りに行った際に、話題の「麒麟の翼」を頼み更に思いつきでこの本も追加した。
案外速くメールが来て、読みかけの他の本を差し置いて一気に讀んでしまう。
展開は意外で面白く読後感も爽やかだった。
ねちねちした感情の思い入れが少ないのが私には好ましい。
作者が理系出身のせいもあるのだろうか。

五十歳、六十歳代にはミステリー漬けになって、十年位前には日本の話題の作家のも随分讀んでいる。
讀むのが速い分、私の場合は忘れるのも速いから今読み返しても新しい気分で楽しめそうだが。
最近は年齢とともに読書志向も変って来ていた。

しかし久しぶりにこの本でリラックスできて楽しかった。
「麒麟の翼」の順番が来るのは大分先になるだろうから彼の旧作を漁って見よう。