病友2010/11/22

クラシック
入院して3日間は高熱と痛み止めで朦朧としていた。
眼を閉じると幻影が広がる。
それが抽象絵画のような光景や、そのまま模写したい迫力のある草木の水墨画。しかしどこか恐ろしい。
一人部屋が心細くなって4日目に2人部屋の空きが出来たと聞いて移ることにした。
窓際で明るいのと同室の方が82歳と伺って心惹かれた。

私も熱は下がってきていたし、同じ昭和2年生まれ同士の会話は凄く楽しかった。
病名は違うが、ともに絶食の点滴生活だ。
様子を窺ってはカーテン越しの会話の話題は尽きない。

子供の頃や戦争中の学徒動員の工場でのこと、この歳になって感じることなどなど、すーっと通じるんだなあ。

辛い検査のときは
「行ってらっしゃい」 「お帰りなさい」
の言葉に思いが籠り、結果に一喜一憂する。
病友は戦友のようなものだ。  慰められた。

お嬢さんはソプラノ歌手で来月の大事なリサイタルを控えてられるのに再々見えてお話しできた。素敵な方だ。
聴きに行きたいけどまだ無理だろうな。

私の退院が決まった時は嬉しかったが、彼女にそれを告げるのは心苦しかった。
とても喜んで下さって、お互い元気になったら是非いらしてね と住所と電話、携帯番号を交換した。
「1週間後には外来に来るからお会いしましょう」
と約束して別れた。

今 病院でどう過ごしておられるかしらと気になる。