クリスマスイヴの思い出2009/12/24

油彩(F15)アトリエにて

何歳だったのだろう、小学生になってたかしら。
ぼや〜っと薄いベールの向こうに見える情景。
クリスマスの夜、熱を出して座敷に寝かされていた。
部屋には父だけが居て、襖越しに賑やかな歓声が聞こえて来る。
熱っぽい頭で 今日はクリスマスだったんだ 伯母さんや知り合いが来てるのに風邪引いちゃった。
隣室の様子が判る。毎年の事だもの。
床の間にクリスマスツリー、天井近くに伯母さんから貰った大きな銀色のベルが2つ下がっている。 ツリーにはモールで作った橇や人形が飾られているが一番好きだったのは天辺の銀紙を張った大きな星だった。 大人は談笑し、子ども達は年長者がリードしていろんなゲームで遊ぶ。
3枚の紙に「誰が」「何処で」「何をした」を各自書いて3つの塊に集めてシャッフルする。 1枚づつ取って一つの文章にすると可笑しな文になって大笑いする他愛ないゲーム。 トランプ遊び、コリントゲームなどなど。

その頃の私は皆と一緒もそれなりに楽しかったけれど、一人で天井板を眺めながらいろんな空想するのも好きだったから淋しいとも感じなかった。 むしろ父が私のために付いていてくれるのが済まないような気持ちだった。
それが伝わったのか父が
「この歳になるとクリスマスやお正月って別に楽しくないんだよ。 お付き合いみたいなもんだ」
と独り言のように言った。
よくは解らなかったけれど ふ〜ん 大人ってそうなんだ と不思議さと何処かで納得する気持ちとが入り交じった。

父と二人で過ごしたクリスマスイヴ、父の話しを聞くのが好きだった私の嬉しくも懐かしい思い出だ。